ホームページとサイトの違い|Web担当者が知るべき3つの常識

「会社のWeb担当になったけど、『ホームページ』と『サイト』って何が違うの?Web制作会社と話すときに、今さら聞けないし、知らないと恥ずかしいかも…」
Web担当者になったばかりのあなたは、今まさにそんな不安を抱えていませんか?
実は、この2つの言葉は「本全体(Webサイト)」と「本の表紙(ホームページ)」のような関係にあり、この違いを理解して正しく使い分けることが、Web担当者として信頼を得るための重要な第一歩です。
そこでこの記事では、「ホームページ」と「サイト」の明確な違いから、ビジネスシーンでの正しい使い分け、Web担当者が知っておくべき常識までを、図解を交え3つのポイントで徹底解説します。
【結論】ホームページとWebサイトの違いは「家全体」と「玄関」の関係

結論からお伝えすると、「ホームページ」と「Webサイト」の決的な違いは、その言葉が指し示す「範囲」にあります。この2つの関係は、しばしば「家」と「玄関」に例えられます。
Webサイトが土地や建物を含めた「家全体」であるとすれば、ホームページはその家に入るための最初の扉である「玄関」にあたります。
私たちが誰かの家を訪ねるとき、まずは玄関から中に入ります。そして中には、リビングや寝室、キッチンなど様々な部屋が存在します。これと同じように、Webの世界でも、ユーザーはまずホームページ(玄関)を訪れ、そこから会社概要やサービス紹介といった様々なページ(部屋)へと移動していくのです。
つまり、Webサイトという大きな枠組みの中に、ホームページという一つの要素が含まれている、という関係性になります。この基本的な関係さえ押さえておけば、2つの言葉を混同して不安になることはもうありません。次の章で、それぞれの言葉の詳しい意味を図解と共に見ていきましょう。
図解でスッキリ!Webサイトとホームページの正しい意味と役割

前の章で「Webサイトは家全体、ホームページは玄関」という関係性をご説明しました。この章では、それぞれの言葉が持つ本来の意味と役割について、もう少し詳しく掘り下げていきましょう。この部分を理解することで、言葉の定義がより明確になります。
Webサイトとは「複数のページで構成されるWeb上の場所」のこと
Webサイト(Website)とは、インターネット上に存在する特定のドメイン名(例: company.co.jpなど)の下にある、関連するWebページ群全体を指す言葉です。
「家」の例えで言えば、Webサイトは土地と建物、そしてその中にあるリビングや寝室、書斎といった複数の部屋すべてを合わせた「家そのもの」です。会社概要ページ、事業内容ページ、採用情報ページ、お問い合わせページなど、ユーザーが閲覧できるすべてのページがWebサイトの構成要素となります。

一般的に「サイト」と略して呼ばれることも多くあります。
ホームページとは「Webサイトの入口となるトップページ」のこと
ホームページ(Homepage)とは、本来Webサイトの「トップページ」や「インデックスページ」と呼ばれる最初の1ページを指します。ユーザーがブラウザのアドレスバーにドメイン名を入力してアクセスした際に、一番初めに表示されるページがホームページです。
「家」で言えば、まさにお客様を最初にお迎えする「玄関」の役割を果たします。玄関が家の顔であるように、ホームページはWebサイト全体の顔として、訪問者にサイト全体の概要を伝え、目的のページ(部屋)へと案内するナビゲーションの起点となる、非常に重要なページです。
一目でわかる関係性の図解
ここまでご説明したWebサイトとホームページの関係性を、図にまとめると以下のようになります。この図を頭に入れておくと、両者の違いで迷うことはなくなるでしょう。
Webサイトとホームページのイメージ


「ホームページ」は古い?言葉が混同されるようになった2つの理由


ここまで読んで、「ホームページはWebサイトのトップページを指す言葉なら、なぜみんなWebサイト全体をホームページと呼ぶの?もしかしてホームページという言い方は古いの?」と疑問に思った方もいるかもしれません。
その疑問はもっともです。実は、この2つの言葉が混同されて使われるようになったのには、はっきりとした歴史的な理由があります。主な理由を2つ見ていきましょう。
理由①:昔は1ページだけのWebサイトが多かったから
一つ目の理由は、インターネットが普及し始めた1990年代に遡ります。当時は技術的な制約や通信速度の問題もあり、Webサイトの多くが現在のように複数のページを持たず、たった1枚のページで構成されていることが一般的でした。
その頃は、Webサイト全体が1ページしかなかったため、「Webサイト = ホームページ」という認識でも何ら問題はなかったのです。その時代の名残が今でも言葉として残っており、特にIT業界に詳しくない方々の間では、Webサイト全体を指して「ホームページ」と呼ぶ習慣が定着しています。
理由②:ブラウザの「ホームボタン」機能と混同されたから
二つ目の理由は、私たちがインターネットを閲覧するために使うブラウザ(Google ChromeやMicrosoft Edgeなど)の機能に関連しています。
多くのブラウザには、設定した特定のページに一瞬で戻ることができる「ホームボタン(家のマークのアイコン)」が搭載されています。この機能は、ブラウザを起動したときの最初のページ、つまりユーザーにとっての「インターネットの玄関口」を表示させるためのものです。
このことから、「ホームページ = Webの起点となるページ」というイメージが広く定着しました。
このイメージが転じて、個々のWebサイトにおいても「そのサイトの起点となるページ(トップページ)」だけでなく、サイト全体を指して「ホームページ」と呼ぶ人が増えた、という背景があります。
Web担当者が知るべき3つの常識|ビジネスでの正しい使い方


言葉の定義や歴史的背景を理解したところで、いよいよ実践編です。Web担当者として最も重要なのは、これらの知識を実際のビジネスシーンでどのように活かすか、ということです。
ここでは、あなたがこれからWeb制作会社や社内のメンバーと円滑にコミュニケーションを取るために、絶対に押さえておきたい「3つの常識」をご紹介します。
常識①:制作会社への依頼は「Webサイト制作」と伝える
外部の専門家であるWeb制作会社と話す際は、必ず「Webサイト」という言葉を使いましょう。これが最も重要で、かつ基本となるルールです。「ホームページ制作をお願いします」と伝えてしまうと、相手によっては「トップページ(ホームページ)のみの制作」と捉えかねず、見積もりの範囲や作業内容に齟齬が生まれるリスクがあります。
「Webサイトのリニューアルを検討しています」と伝えることで、「Webページ群全体の刷新ですね」と相手は正確に理解してくれます。これにより、あなたは「この担当者は基礎を理解しているな」という信頼を得ることができ、その後の打ち合わせもスムーズに進むでしょう。プロと話すときは、プロが使う言葉に合わせるのが鉄則です。



逆に言うと、私たちはホームページと言われると「Webサイトのことかな?」と捉えるようにしています!
常識②:社内での説明は相手の知識レベルに合わせる
一方、社内の上司や他部署の同僚と話す場合は、必ずしも「Webサイト」に統一する必要はありません。大切なのは、プロジェクトを円滑に進めるためのコミュニケーションであり、言葉の正しさを一方的に主張することではないからです。
もし、あなたの上司がWebサイト全体を指して「会社のホームページを新しくしたい」と言った場合、「それはWebサイトのことですね」と細かく訂正する必要はありません。
「はい、ホームページ(Webサイト)のリニューアルの件ですね」と、相手の言葉を受け入れつつ、括弧書きで正しい認識を示すような、柔軟な対応を心がけましょう。相手のITリテラシーに合わせた言葉選びができることも、優れたWeb担当者のスキルの一つです。
常識③:トップページを指す言葉として「ホームページ」を使う
では、「ホームページ」という言葉は、ビジネスシーンで全く使わない方が良いのでしょうか。答えは「いいえ」です。Webサイトの「トップページ」を具体的に指し示したい場合には、「ホームページ」という言葉が非常に有効です。
例えば、「新しいWebサイトのホームページには、一番伝えたいメッセージと主要なコンテンツへの案内を配置しましょう」といった使い方です。このように、Webサイト全体の話をしている文脈の中で、特定のページとしてトップページに言及する際に「ホームページ」という言葉を使えば、相手にも意図が明確に伝わります。



正しく理解した上で、適切な場面で使い分けることができれば完璧です。
【応用編】LP(ランディングページ)やブログとの違いとは?


「ホームページ」と「Webサイト」の違いをマスターしたあなたなら、Web担当者として次に出会うであろう専門用語も理解しておくことで、さらに自信を深めることができます。ここでは、特によく耳にする「LP(ランディングページ)」と「ブログ」について、Webサイトとの違いを解説します。
LP(ランディングページ)との違いは「目的」
LP(エルピー)とは「ランディングページ」の略で、直訳すると「訪問者が最初に着地するページ」という意味です。広義ではWebサイト内のすべてのページがLPになり得ますが、Webマーケティングの世界では「訪問者に特定のアクション(商品の購入、資料請求、問い合わせなど)を促すことに特化した、縦長の単一ページ」を指すのが一般的です。
Webサイトが、訪問者に様々な情報を提供し、自由にサイト内を回遊してもらうことを目的とした「百貨店」だとすれば、LPは特定の商品やサービスの購入だけを目的に作られた「専門の販売ブース」です。他のページへのリンクを意図的に減らし、訪問者が他の情報に気を取られず、コンバージョン(成果)に至る確率を最大限に高める構成になっているのが大きな特徴です。
ブログとの違いは「情報の形式と更新性」
ブログは、元々「ウェブログ(Weblog)」の略で、日々の出来事や専門知識などを記録(log)するWeb上の日記やニュースのようなものです。Webサイトとの最も大きな違いは、「情報の形式と更新性」にあります。
Webサイトの会社概要や事業内容といったページは、一度作成したら頻繁には更新しない「固定的(ストック型)な情報」です。一方、ブログは「〇月〇日の記事」といったように時系列で記事が蓄積されていく「流動的(フロー型)な情報」であり、定期的に新しいコンテンツが追加・更新されていくのが特徴です。
多くの場合、ブログはWebサイトの一部(例:company.co.jp/blog/)として組み込まれ、情報発信や集客の役割を担います。
まとめ
今回は、「ホームページ」と「Webサイト」の違いについて、その関係性からビジネスシーンでの正しい使い方までを詳しく解説しました。
最も大切なポイントは、Webサイトが複数のページで構成される「家全体」であり、ホームページはその入口となる「玄関(トップページ)」である、という関係性を理解することです。この基本さえ押さえておけば、言葉の使い分けに迷うことはもうありません。
そして、Web担当者として成果を出すためには、この知識を実践で活かすことが何よりも重要です。Web制作会社のようなプロと話すときは「Webサイト」、社内の人との会話では相手に合わせる柔軟性を持ち、トップページを指す場合にのみ「ホームページ」と使う。この3つの常識を意識するだけで、あなたの仕事の進め方は大きく変わるはずです。
この記事を通じて得た知識は、Web担当者としてのあなたのキャリアにおける、ささやかですが非常に重要な第一歩です。言葉の違いを正しく理解し、自信を持ってコミュニケーションをとることで、ぜひ社内外から信頼される「頼れるWeb担当者」として、素晴らしいWebサイト作りを成功させてください。



